団体概要

設立趣意

 私たち人類は、古来より、地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを使って生物により生産される資源であるバイオマスを食料・木材として、さらにはエネルギーや製品として利用することにより、生活を営んできました。しかし、経済的な豊かさと便利さを手に入れ発展する過程において、その生活基盤の多くを枯渇が予想される石炭や石油などの化石資源に依存するようになりました。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムは、自然の浄化能力を超え、地球温暖化、廃棄物、有害物質等の様々な環境問題を深刻化させています。

私たちがこれから利用普及に取り組むバイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」です。バイオマスは、地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを使って、無機物である水と二酸化炭素(CO2)から、生物が光合成によって生成した有機物です。したがって、私たちのライフサイクルの中で、生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源です。

また、バイオマスの燃焼などにより放出される CO2 は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2 ですので、バイオマスは大気中のCO2を増加させないという「カーボンニュートラル」と呼ばれる特性を有しています。このため、化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することは、地球温暖化を引き起こすCO2の排出削減に大きく貢献することができます。さらに、資源の多くを輸入に頼っている我が国では、エネルギーや資源の安全保障という点でも、地域資源を有効に活用し、自給率を高めることは重要と考えられます。

海外では積極的に一次エネルギー源としてこのバイオマスエネルギーの利用拡大を図っています。しかし、わが国においてはバイオマスの豊富な賦存量があるにもかかわらず、これら海外諸国に比べその利用は殆ど進んでおらず市場の形成及び技術の開発・実証の両面で大きく遅れています。

九州は、我が国農業総産出額の約2割を占める食料供給基地であり、畜産業や食品産業のウエイトも高いことから、バイオマスの利活用についても大きな可能性を秘めています。そこで、九州地域においてバイオマス関係の情報を集約し、その普及を促進すべく、本会を発足させようと計画しております。バイオマスエネルギーのような地域性をもつエネルギー資源を利用するためには、地域レベルの取り組みが重要で、一過性のイベントではなく、バイオマス普及のためのネットワークを構築することにこそ意味があると考えられます。本会は、九州におけるバイオマス利用システムの構築とその事業性についての調査・研究を行い、バイオマスの利活用に関する広報・普及活動を通して諸団体とのネットワーク形成と、バイオマスに関する窓口機関としての役割を担うことにより、循環型社会の形成を実現することを目的とします。

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